巷ではもうイベント自粛や、海外からのインバウンドに頼ってきた旅行関連業、中国から原材料を仕入れていた企業なんかがちょっと怪しくなってきましたよね。
学校も春まで休校なんてニュースも出ていて、みんな外に出なくなるので消費が一気に冷え込むリスクが高くなってきました。
このままいくと先行きが不透明な長い不況に突入してしまいそうですよね。。
ここで日本経済の話を少しすると、2019年10月の消費税増税もあって、あまりよろしくない経済指標が出ちゃってるタイミングだったりもします。
今日はそんなちょっと暗い話題ではあるんですけど、「債権回収」について触れておかなきゃと思い立ったので、久々に記事を書いてみた次第です。
債権回収については自分も何度か経験していますが、そういったノウハウや経験談なんかはあまり世に出てこないので、SESの営業として知っておいて欲しいなと思います。
債権回収ってどんなことをするのか?
そもそも「債権」とはSESのお金の流れで簡単に説明すると、例えば翌月末までの支払い条件で立てた請求金額が、実際に入金日になっても会社へ支払われなかった場合に発生する「請求する権利」のことです。
顧客へはエンジニアが稼働した分の請求をする権利がありますし、顧客側からするとそれを期日までに支払わなければならない義務(これを「債務」といいます)があります。
この本来支払われるはずだった請求金額を、企業は回収しなければならないんです。
お金を支払えないってことは、要するに顧客先が潰れそうになってるってことっす
債権回収については基本的には弁護士と相談しながら進める
まず自分の顧客先がそんな状況に陥ってしまった場合は、すぐに上司や社長にリスクを共有しましょう。
債権回収は基本的には弁護士と進めていくんですが、その前段階で色々な情報を集めたり、まだ現場でエンジニアが稼働している場合は抜かないといけないですし、営業窓口としてやらなければいけないことがあります。
また会社間のことなので、顧客側の担当者も把握できていない場合もあったりします。
単純に経理側のミスという可能性も0ではないので、慎重にことを進める必要があります。
#営業が初動でやっておいた方が良い事
- 契約書や請求書などのエビデンスを集める
- 顧客側に支払い状況について確認を入れる
- 状況によってはさらに上位の会社と連携をとる
情報共有とスピードが命。取引規模によってはこれが原因で自分の会社も倒産してしまうなんてこともありえるよ
取引先が倒産しそうなフラグがたつ場合がある
入金がないというのは1番わかりやすいとは思いますが、僕が過去に経験した状況を踏まえて解説していきたいと思います。
ちなみにもし自分の会社でそんな倒産フラグがたってしまったら、いつでも脱出できるように準備しておきましょう。
レベル1−「あそこの会社危ないかも」という情報が流れてくる
これは他の案件で支払いトラブルが発生したとか、大きい受託で失敗したとかそういった情報が他社の営業などから流れてくる場合ですね。
火のないところに煙は立たないとはよく言ったもので、SESの営業同士でこういった情報を交換することもあります。
取引がなければ取引禁止リストに入れておくだけで済むんですが、現在進行形で契約がある場合はすぐに情報収集をしないといけないです。
噂レベルだったらまだいいんですけど、自社に影響が出そうな場合は早めに動いておかなければならないですよね
レベル2−入金予定日の前に支払いの遅延について相談される
これはまだ顧客側で支払う意向があって、資金繰りが厳しくなっている中でも誠実な方なんじゃないかと思います。
あらかじめ予定されていた入金日の前に連絡をして、社長や責任者がちゃんとごめんなさいをしているわけですから、少し遅れても支払ってくれるパターンだったりします。
これ、ちなみに会社へ訪問せずに担当者からのメール連絡だけとかだったら、速攻でアポをとってこっちからその会社にすぐに行った方が良いです。
その場合はレベル3に昇格します。
会社間の約束を守れないってことは、それくらいの事案ってことです。遅延するならいつまでに支払えるのか確約をとりましょう
レベル3−支払い予定日に入金がなく連絡もない
ここから赤信号が灯ります。
100歩譲って経理処理のミスという場合もあり、僕も一度本当に入金し忘れだったらしくて、取引先の社長と営業部長が菓子折りを持って会社まで謝罪に来てくれたことがあります。
ただし多くの場合は資金がショートしている可能性が高いので、こういった場合はすぐに取引先に連絡をして確認をしなければなりません。
普通の会社ならちゃんと月末などで入出金を管理しているとは思いますが、債権回収はスピード勝負だったりするので、入金がないことにしばらく気づかない会社は致命的です。
このフェーズからは債権が発生しているので、関係者にはすぐにアラートを出しましょう
レベル4−社員の給料が支払われていないという情報が入る
ここまでいっちゃうと、ほぼ倒産が確定します。
社員の給与って未払いが発生するともう内部がぐちゃぐちゃになるので、経営者的にもここが最後の砦なんじゃないかなと。
クリスマスの日に社員の給与が振り込まれなくて、そのまま飛んじゃった会社も見たことがあります。
ここから復活する会社は、よほどのウルトラCがない限りほとんどないんじゃないでしょうか。
この情報が入ってきたらどうやって債権回収を進めていくか、すぐにシナリオを立てないといけません
レベル5−債権者集会の通知がくる
このフェーズではもう弁護士が介入しちゃってるので、もうやれることはほぼないはずです。
この通知が来るまで状況に気づいていないとかなら、リスク管理が相当やばい会社ってことですね。(流石にそれはないと思いますが)
これちなみに僕が知る限りだと上場企業が倒産して、この通知が営業の元に届いたっていうのを見たことがあります。
ここまできちゃったら粛々と手続きを進めていくだけです。微々たるものでも回収できるならまだいい方です
パートナー会社が倒産しそうな場合
上位の会社が潰れそうな場合は債権回収をしないといけないのですが、逆にこちらから支払う先のパートナー会社が潰れてしまう場合もあります。
この場合は売掛ではなく買掛、つまりこちらから支払う先が危ないということなので取りっぱぐれるリスクはありません。
ただしこの場合も現場でエンジニアが稼働していると、色々と問題が出てしまうので早めに対処する必要があります。
社会保険の滞納で書面が届く場合がある
パートナー会社がやばいぞっていうときは、社会保険事務所から売掛債権について調査票が届いて気づいたりするんですよね。
数人規模の小さな会社とかだと、ちょっとしたことで会社がすぐに傾いてしまうので、社保料が支払えなくなって滞納してしまうことがあるんです。
取引する側としてはこんな書面が届いちゃったら、契約を継続するのにはリスクを感じてしまいます。
とりあえずエンジニアが稼働している場合は、パートナー会社に確認を入れないといけないですよね
稼働しているエンジニアに給料が支払われていない
これは現場でフォローしたりしてる時に、ぽろっと相談ベースで聞いちゃったりすることがあります。
この場合は非常にセンシティブな話なので慎重に対応しないといけないのですが、まあ十中八九そのまま会社は倒産しちゃうことが多いですね。
給与を同等基準で保証してあげたりして自社に引き込んでも良いのですが、これも一歩間違うと引き抜き行為として見られちゃう可能性があるので、この辺はパートナー会社と相談ですかね。
いくつかパターンを想定して、まずはエンジニアを守るために取引先としてある程度は柔軟に対応したいところ
与信管理とリスクヘッジを徹底しよう
正直なところオリンピック後の不況に備える前に、ここまで大きな問題になってしまったのは予想外でした。
ここから先は経済にどれくらいの影響が出るのか、またいつ頃に収束するのかが見えていないので、不安になっている人も多いんじゃないかと思います。
会社として与信管理やリスクヘッジできることを挙げると、
- 1社あたりの取引額を全体の5〜10%程度に抑える
- 上場企業やなるべく規模が大きい会社と取引をする
- 帝国データバンクなどの情報を取得する
- 売掛保証サービスなどを導入する
- 倒産リスクや支払いトラブルについて情報収集する
- 入金サイトが短い会社と取引をする
といったことがあるのではないかと思います。
最後に記載した「入金サイト」についてですが、もしこれから新規の取引が発生する場合に仮に入金サイトが60日だとしたら、最初の未入金が発生するのがなんと契約から90日後なんですよね。
なので、できる限り入金サイトは早くしてもらう交渉をしましょう。
これ「取り込み詐欺」とか「計画倒産」でググると恐ろしい世界が。。ちなみに昔、知り合いの社長がやられてました
債権回収についてはハッキリ言うと最終的には社長の仕事なんですが、取引先との窓口は営業がやることになるでしょうから、こういったことを念頭におきつつリスクについても考えておくと良いでしょう。
以上をざっくりまとめると、与信管理も情報収拾もきちんとやるべきことをやっておいて、自分の会社やエンジニアを守っていくのも営業の仕事の1つなのです。
営業も自分の取引先の入金状況くらいは、把握しておいて良いのではないかと思います
闇雲に不安になる必要はなくて、正しい情報と然るべき体制を準備しておくことが大切なんやで
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